こころは取り戻せるか
姪たちと遊ぶのは楽しい。
姪たちも同じ気持ちでいるらしく
私が大人同士の話をしていると
「まだ話終わらないのぉ?」と
不満げな顔で呼びに来る。遊びはだいたいカードゲーム。
3人の姪と私たち夫婦の5人。
大抵は本気でやるけど、
誰か一人が連続して負けると
決して悟られないように
時々は負けてもみる。私の実家へ戻ると、
姪は私たち夫婦を離そうとしない。
どこかへ行くにも
私たちの車に乗りたがる。
どこか食べに行くと横に座り、
歩くときは手を繋ぎ、
寝るときも一緒だ。それくらい姪たちは
私たちを慕ってくれていて
本当にベッタリなんだけど、
その姪たちの心を一瞬にして
奪う物がある。テレビだ。
特に再現VTRの類が最強で
トランプの最中なのに
3人ともピタッと動きが止まり
画面に釘付けになる。
多分、意味の半分も分かってないはず。
それを食い入るように見ている。
でも、彼女たちの顔からは
表情が消えていて、その顔を見ると
私はいつも、何かとても恐ろしい物を
見てしまったような気になる。
元に戻すためには
それぞれの名を呼びながら
「順番来たよ!さあどうする?」と
肩を叩くのだけど、
番組の切りがつくまでは
心を奪われたまま戻らない。まだ、赤裸々な男女の物語を
理解出来ないながらも
目をランランとさせ楽しそうなら・・・
笑って済ませるだろうけど、
(それはそれで怖いか・・・)
私があまり
テレビが好きじゃないのも重なってか
あの、表情の消えた仮面のような顔は
正直ゾッとする。「テレビに至っては、紙芝居同様、否、
紙芝居以下の白痴番組が
毎日ずらりと並んでいる。
ラジオ、テレビという
最も進歩したマスコミ機関によって
『一億総白痴化』運動が
展開されていると言って好い」1957年、大宅壮一はこう綴っていた。
姪たちのあの表情を見ると、
流行語にもなったこの論評は
決して大袈裟でも誇張でもないと
思えてならない。
何より、
好奇心を刺激した上で論点をそらし
問題点を曖昧にするやり方で、
大人ですら、目くらましに
気が付かなくなっているものね。
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